2019/9/27

【vol.1】筋肉は大切な"臓器"です!

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SIXPAD STATIONの共同開発パートナーであり、「キンニク先生」と呼ばれている森谷先生。1回目は筋肉の役割と、筋トレが大切な理由をお話します。

◆ある時は"矯正下着"ある時は"脳トレツール"に変身する筋肉

筋肉は糖と脂肪を燃やす"臓器"です。身体に取り入れられた糖のなかの、実に約70%が筋肉でエネルギーとして消費されます。だから筋肉を鍛えてちゃんと維持していれば、食事制限に頼るダイエットは不要。ご飯だって思い切り美味しく食べられます。

糖尿病の原因は食べすぎと考えられがちですが、実は筋肉の劣化にあります。どういうことかというと、座りっぱなしのデスクワークなどで筋肉が衰えて代謝が落ちる。その結果、糖を十分に消費できなくなった。これが本当のところです。

ちなみに糖の残り約20%は脳で、約10%は他の臓器で使われます。このように、糖は身体に必要不可欠なエネルギー。最近もてはやされている"糖質オフダイエット"など「何考えてんだ!」ってハナシです。これは重要なポイントなので回を改めて詳しくお話しますが、間違ったダイエットは筋肉を、そして身体を破壊します。それよりも今すぐ、筋肉を鍛えましょう!

筋肉は脂肪もエネルギーとして消費します。筋トレをすると自律神経の働きが活発になり、脂肪が分解・燃焼されやすい体質になれるんです。

皆さん「基礎代謝」という言葉、ご存知ですね? これは呼吸や体温調整のために、運動をしなくても自動的に消費されるエネルギー量のこと。だから筋肉を鍛えて糖と脂肪が燃えやすい状態にしておけば、基礎代謝は上がり、太りにくい体質になります。

筋肉を付ければ、一時的なダイエットと違ってリバウンドもありません。とくにお腹まわりの筋肉は内臓をコルセットのように支えてくれるので、下腹がプックリ出ることもナシ。筋肉というのは、服を脱いでいる間もボディラインをキープしてくれる"自前の矯正下着"でもあるわけです。

最近の研究では、筋肉を鍛えると脳に良いさまざまな物質が分泌されることも明らかになっています。そのひとつBDNF(脳由来神経栄養因子)は、記憶力や学習能力のアップや、認知症改善の効果が認められています。"筋トレで脳トレ"は、これからの常識になるでしょう。

◆筋トレのメインターゲットは「速筋」

筋肉は大きく分けて「速筋(そっきん)」と「遅筋(ちきん)」の2種類があります。それぞれの特徴を説明します。

1. 「速筋」 白身で瞬発力タイプ

ウエイトトレーニングや短距離走など、パワーと瞬発力が要求される運動で活躍。転びそうな時に咄嗟に手をつく動作など、日常生活でも何かと頼りになる筋肉です。収縮速度が速く、瞬間的に大きな力を発揮できる反面、持久力はありません。魚で言えばタイの白身。白く見えるのは酸素を必要とせず、血管がほとんどないから。その代わり、糖と水分が結合した「グリコーゲン」という物質をロケット燃料のように使って、ドカーンと力を出せるわけです。

2.「遅筋」 赤身で持久力タイプ

ウォーキングやジョギングなど、負荷の軽い運動で使われる筋肉。収縮速度が遅く、大きな力を出せない反面、持久力があります。糖と脂肪をエネルギーとして燃焼させるため、酸素を取り入れる血管が発達して赤く見えます。魚で言えばマグロの赤身。マグロは身体のほとんどが「遅筋」で、持久力が優れているため一日じゅうでも広い海を回遊できるんです。

人間の場合、魚とちがって「速筋」と「遅筋」の比率はほぼ半々。私たちの体力は20歳をピークに下降線をたどり、何もしなければ筋肉は1年に1%ずつ減少していきます。この時、真っ先に衰えるのが「速筋」。だからこそ筋トレが重要なわけですが、重い負荷をかけなければ「速筋」は鍛えられません。具体的には、自分が持ち上げられる限界の75%ぐらいの重さを10回上げるのを、続けて3セット行うこと。

とてもじゃないけど無理!と思った皆さん、あきらめるのは早いですよ! 軽い負荷で「速筋」を鍛えられる「EMS」というトレーニングメソッドがあるんです。一体「EMS」とは何なのか? 次回詳しくお話します。

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森谷敏夫京都大学名誉教授

森谷敏夫
京都大学名誉教授

1950年、兵庫県生まれ。国際電気生理運動学会、国際バイオメカニクス学会など、多数の学会で会長、理事、評議員を歴任。世界で初めて、筋力増大に対する神経的要因の貢献度を評価した。

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