2019/12/10

【vol.5】筋肉は休んで"超回復"するから強くなる

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"筋肉を鍛える"には"休ませる"という意味も含まれています。休息が必要な理由と、"超回復"の原理にもとづいた効果的な休ませ方をお話しします。

◆筋肉は"破壊""修復"を繰り返すことで強くなる

筋トレに痛みは付きモノ。そもそもラクをして鍛えられるような美味しい話など、ありません。しかしだからと言って"とにかく筋肉をドツキ回せ!"という根性論は、百害あって一利ナシ。まずは科学的なメカニズムを、しっかり理解することが大切です。

筋トレというのは、端的に言うと"破壊と修復を効率良く繰り返す作業"。負荷をかけて筋肉をドツキ回すのが"破壊"で、破壊された筋肉を休ませて回復させるのが"修復"です。

これら2つのプロセスが上手くかみ合って、はじめて筋肉は鍛えられるのです。そして大きなポイントが、筋肉は修復を経て以前より強くなるということ。

皆さん「超回復」という言葉、聴いたことありますね? ある重さの負荷によって損傷した筋肉は、次に同じ負荷をかけても耐えられる筋力を得て回復するという原理です。"この程度で壊れていてはダメだ。もっと強くなろう!"と、筋肉が成長するわけです。

たとえば5kgのダンベルを10回上げるのが精一杯だったのが、次は11回、12回とできるようになる。少しずつですが筋線維は太くなり、二の腕もたくましくなる。身体に起きるこうした変化は、筋トレを続けるモチベーションになってくれるでしょう。

◆乳酸が筋肉を成長させる。"極悪物質"は、とんでもない誤解

「超回復」の過程で、筋肉痛は避けられません。これは筋トレによって損傷した筋線維を修復するため、白血球が働く際に起きる炎症によって生じる痛み。少しタイムラグを置いて、筋トレの翌日から翌々日ぐらいに発生します。

逆に言えば、筋肉痛をともなわない筋トレは意味ナシ。痛みが出なくなったら少し重い負荷にするか、回数を増やしてステップアップしましょう。

長年の定説として、筋肉痛の原因は乳酸とされてきました。保健体育の授業で、乳酸は筋肉を疲労させる"極悪物質"と教えられた方も多いと思います。それはとんでもない誤解だったことが、最近の研究で明らかになっています。

筋トレを行っている間、「速筋」は糖をエネルギーとして分解しています。その際に産出されるのが乳酸で、これが老廃物となって筋肉を疲労させると考えられていました。しかし実際は、「遅筋」のエネルギーとして乳酸が活用されていることがわかったのです。ここで重要な役割を担うのが「遅筋」の細胞にあるミトコンドリアという小器官で、エサを食べるように乳酸を吸収します。

さらに筋トレを重ねて乳酸の産出量が増えると、ミトコンドリアが増えることも明らかに。ミトコンドリアは、身体のさまざまな活動のエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)という物質を合成する。ミトコンドリアが増えて、より多くのATPが作られれば「遅筋」の持久力が上がっていく。つまり「速筋」を鍛えれば、相乗効果で「遅筋」も鍛えられる。乳酸というのは"極悪"どころか、筋肉の成長に欠かせない存在だったのです。

◆筋トレから30分以内に"卵3個分"のタンパク質を摂ること

筋トレの間隔は、48時間〜72時間空けるのが良い。「超回復」によって筋肉が成長するには、このぐらいの時間が必要だからです。したがって、筋トレは週23回のペースで行うのが効果的。やみくもに毎日頑張っても、筋肉の衰えを招くだけです。

この間、大切なのがタンパク質を摂ること。タンパク質は筋肉を作る材料。工事で掘り返した道路をアスファルトで元通りにするように、筋肉の修復にはタンパク質が必要というわけです。

まずは筋トレが終わって30分以内に、20g程度のタンパク質を摂りましょう。20gというと卵3個分、牛乳ならコップ3杯分。コンビニやスーパーで目にする400gパックのヨーグルトには、1516gぐらい含まれています。製品のパッケージには"○○mℓあたりタンパク質○○g"という栄養成分表示があるので、必ずチェックしましょう。

20gというのは、ちゃんと意識しないと摂るのが難しい量。1度に卵3個はキツいし、一緒に含まれる脂肪分はいらないという方も多いと思います。そんな場合は、プロテインなどのサプリメントを活用しましょう。タンパク質をはじめ、筋肉に必要な栄養素がバランス良く含まれています。ドラッグストアやスポーツ用品店、ジムでいろいろな種類が揃っているので、迷ったら相談して自分に合ったものを選んでください。

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森谷敏夫京都大学名誉教授

森谷敏夫
京都大学名誉教授

1950年、兵庫県生まれ。国際電気生理運動学会、国際バイオメカニクス学会など、多数の学会で会長、理事、評議員を歴任。世界で初めて、筋力増大に対する神経的要因の貢献度を評価した。

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