2020/7/20

【vol.12】人生100年時代、筋トレを一生涯のパートナーに

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"さあ、やろう!"と思ったときが、筋トレ適齢期。50代、60代から始めても、遅すぎることはありません。
筋肉を鍛えて、人生を最後まで健康的に楽しみましょう。

◆身体が衰える原因は加齢でなく"動かないこと"

当たり前ですが、人間は動物の一種です。"動物"と呼ばれる通り、動いてなんぼというわけです。
だから"歳を取って衰えた"という原因は加齢よりも、デスクワークなどで長年にわたって身体を動かさなかったことの方が大きいんです。

以前にもお話しましたが、私たちの体力は20歳をピークに下降線をたどり、"何もしなければ"筋肉は1年に1%ずつ減少していきます。単純に言えば、60歳になると20歳の頃に比べて40%も筋肉が落ちることになります。

ただし衰えるのは、あくまでも"何もしなければ"です。

漁師さんを思い出してください。60代、70代でも筋骨隆々の身体をしている。
体力だって20代、30代のサラリーマンよりあるでしょう。それは何故なのか?

答えは簡単で、常に身体を動かしているから。

揺れる船の上ではバランスを取るために下半身の筋肉を使い、水揚げでは全身の筋肉を総動員して海産物を運んでいる。漁師というのは、日常生活が筋トレそのものなんです。

筋肉は、脳からの信号を受けて収縮します。その伝達役である脊髄の運動神経も、加齢とともに減っていきます。
ところが、必ずしもそうでないことがわかってきた。スポーツでは「シニア・マスターズ」と呼ばれるような、60歳以上の現役アスリートがいます。こうした65歳の選手と25歳の男性の運動神経の数を比較したところ、ほとんど差がなかった。

歳を取っても身体を動かして筋肉を使っていれば、脳や運動神経の衰えを防ぐことができるわけです。

◆平均寿命よりも"健康寿命"を延ばすことが大切

人生100年時代と言われています。
2019年9月には、100歳以上の人口が7万人を突破しました。平均寿命も年々延びて2018年は男性が81.25歳、女性が87.32歳に。しかし健康寿命になると男性が72歳、女性が75歳ぐらい。
男女とも、天寿をまっとうする寿命との間に約10年もの差がある。

健康寿命というのはWHO(世界保険機関)が提唱するコンセプトで、介護を受けず独立して人生を楽しめる上限の年齢を意味します。つまり多くの人が人生最後の10年は健康を害して、寝たきりのような状態で過ごしているわけです。
そして日本人が一生の間に使う医療費の約70%は、健康寿命を超えた70代以降に集中している。
トータルの医療費は43兆円をオーバーし、国家予算の約40%に。このまま放置しておけば、毎年1兆円のペースで増え続けるとも言われています。
まさに "国難"じゃないでしょうか。

要介護になる原因で、一番多いのが脳卒中。次いで認知症、転倒・骨折、関節疾患などが続いている。
つまりほとんどの原因が、筋肉の衰えに関係しているんです。

このコラムの【vol.4】 でお話した通り、下半身の筋肉の衰えは間違いなく早死にを招きます。

まさに"筋肉問題"。これを克服するには、私たち一人ひとりが筋肉を鍛えて健康寿命を延ばすしかありません。

◆腕立て&スクワット10回からでも始めてみましょう

もう何十年も身体を動かしていないし、いきなり筋トレなんか無理だ...という方もいらっしゃるでしょう。
でも心配しないでください。腕立て伏せとスクワットを10回程度からで構いません。
最初は筋肉が悲鳴を上げるでしょうが、それでもいいんです。
呼吸を止めず、意識を集中させて、続けてみてください。必ず変化が現れるでしょう。(【vol3】 参照)

そして大切なのが、栄養補給。トレーニング後30分以内に、必ずタンパク質やアミノ酸を摂ってください。   (【vol.5】【vol.7】参照 )

これをしなければ、せっかく筋トレをしても筋肉は付きません。
69歳の私が筋骨隆々を保っていられるのも、栄養補給を欠かさないからです。
筋肉を鍛えれば、心肺機能も強くなりますし、脳も活性化します。
健康的に過ごせるのはもちろん、新しいことにチャレンジする気持ちが芽生え、人生が楽しくなるはずです。

"死ぬまで筋トレ"というつもりで、一生涯のパートナーとして付き合ってみましょう。

【参考文献】「京大の筋肉」2015年 デジタルアーカイブズ(株)

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森谷敏夫京都大学名誉教授

森谷敏夫
京都大学名誉教授

1950年、兵庫県生まれ。国際電気生理運動学会、国際バイオメカニクス学会など、多数の学会で会長、理事、評議員を歴任。世界で初めて、筋力増大に対する神経的要因の貢献度を評価した。

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