EVIDENCE

EMSと随意運動を融合した
効率的なトレーニングの効果を研究。

運動と神経・筋肉に関する研究を重ねる渡邊航平氏は、随意運動にEMSを付加する運動(いわゆるハイブリッドトレーニング)により随意運動とは異なる代謝応答を引き出せることを自転車運動を用いて明らかにし(Watanabe et al. Eur J Appl Physiol 114:1801-1807, 2014)、同様の応答が全身運動でも生じるかを検証しています。EMSは、随意運動では動員されにくい強い収縮力を持つ筋線維を容易に動員することができるため、低い運動負荷であっても、身体の中では非常に強い運動をしているのと類似した生体応答を引き起こせる可能性が示唆されます。

* EMS(Electrical Muscle Stimulation=筋電気刺激)

渡邊航平 中京大学 国際教養学部 准教授

渡邊航平中京大学 国際教養学部 准教授

専門は運動生理学・バイオメカニクス。
運動や加齢が中枢神経や筋肉へ及ぼす影響について研究を行う。
国際電気生理運動学会理事も務める。

「全身を対象とした随意運動と骨格筋電気刺激の併用が代謝応答に及ぼす影響」に関する研究

01目的

本研究では、随意運動、骨格筋電気刺激、および随意運動と骨格筋電気刺激を組み合わせた運動時における代謝動態を含む生体負荷を定量的に評価した。

02実験概要

被験者は13名の男性とし、自重負荷を用いた随意運動(V)、全身に対する骨格筋電気刺激(E)、および随意運動と骨格筋電気刺激を組み合わせ運動(VE)を行わせた際に、運動中の呼吸代謝、運動前後の血中乳酸値を計測し、3つの条件で比較した。骨格筋電気刺激は、大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋、腹直筋、腹斜筋、大胸筋、広背筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋の近位部に電極が配置されているウエアタイプの全身骨格筋電気刺激装置を使用し、基本の刺激周波数を20Hzとして、約15分間の電気刺激を実施した。随意運動も約15分間の運動プログラムを実施した。

03結果

自重負荷を用いた随意運動前後の血中乳酸は、試行前1.2±0.2mmol/lから試行後4.6±1.8mmol/lとなったのに対し、電気刺激のみで1.2±0.2mmol/lから3.8±1.4mmol/l、電気刺激+随意運動の両方で1.2±0.3mmol/lから7.5±2.7mmol/lに有意に増加した。呼気ガス測定から算出された運動強度は、随意運動で4.3Metsとなったのに対し、電気刺激のみで2.9Mets、電気刺激+随意運動の組み合わせで5.3Metsとなった。

身体活動強度のグラフ
血中乳酸値のグラフ
04まとめ

5.3Mets程度の低強度の運動にも関わらず、7.5mmol/lもの血中乳酸が今回の骨格筋電気刺激と随意運動との併用の運動プログラムで生じた。この結果は、高強度の運動を実施した時と類似した生体内での応答を、5.3Mets程度の低強度の運動でも再現できる可能性があることを示唆している。

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